ファッションビル研究所

2007年05月07日(月曜日) #122.希少性の存在が百貨店を支えている、経営統合はブランドの相殺も孕む

先日の産経新聞で高島屋の社長が語っている。
「再編がなだれ現象のように続くとは考えていない。統合によって単純に企業規模が大きくなれば、競争力が高まるという考え方には違和感を覚える・・・」と。
氏はこの中で、中国進出について「百貨店を軸に、専門店が入る複合商業施設とする方向も検討している・・・」とも語っている。
平成21年に大幅増証する大阪店は、専門店を入居させた「都会型ショッピングセンター」を打ち出すとの事。
百貨店において、規模の優位性が無いという事に関しては同感できるが、百貨店の専門店街化構想は真逆。
筆者は、百貨店の正常進化の未来像は専門店街化ではないとかつてのコラムで散々書いた。

#089.百貨店という業態こそセレクトショップに向いている
#087.百貨店の正常進化の最終形は”高級セレクトショップ”である
#078.百貨店の”専門店化”と”箱ショップの壁撤廃”は要注意

百貨店の専門店街化の問題については過去のコラムを読んで戴いて、今回は百貨店の規模の優位性について語りたい。
今回のコラムのテーマでもあるように、希少性の存在が百貨店を支えている。希少性については語るまでも無い。
スーパーマーケットと百貨店の違いはここにある。
規模の優位性を押し進める事は希少性と相反する。高島屋の社長がこれをベースに語っているかどうかは定かではない。
昨年2006年9月の大丸と松坂屋の経営統合は筆者も気になっていた。
この経営統合は希少性の有無以外にもブランドの相殺という危険性も孕んでいる。
※「ブランドの相殺」とは・・・概ね相乗効果の反対を意味しています。筆者が勝手に創りました。
大丸と松坂屋の経営統合は、屋号をそれぞれ存続させ、店舗配置も今日までバッティングしていないし、これからもさせないとの事。
この経営統合事例は現時点で、希少性を損なう危険性もブランドの相殺も無いものだが、将来的に社力の優劣が表面化し、ブランド自体の整理統合も考えられなくもない。
百貨店における最重要ポイント、希少性とブランドを軽視する可能性のある経営統合は、メリットである高効率化を差し引いても得策とはいえないと結論したい。