ファッションビル研究所

2016年01月01日(金曜日) #152.「直近のWEB戦略」

あけましておめでとうございます。
正月にコラムを執筆するのは久々です。

ファッションビジネスに限らず、どのようなビジネスであっても「WEB戦略」というのは外せない要素の一つです。
こちらのサイトでは、私自身の事はほとんど触れずに来ましたが、実はWEBの技術者でもあります。今回はちょっとその視点で、「直近のWEB戦略」と題して、盛大に語りたいと思います。
WEB関係にあまり触れてこられなかった方には、少々聞き慣れないワードも出てくると思われますが、前後の内容で分かるように執筆しました。

「直近のWEB戦略」
売上向上におけるWEB戦略で何が出来るか
WEB戦略において無視できない潮流を作る2大企業の最新の動向を見ながら考察してみる

WEB戦略においてキーとなる企業動向調査が必要になってきています。まずは、SEOにおいてはGoogle社の動向調査です。これは言うまでも無いと思いますが、彼らの言う事を無視してページを作成すると検索順位に大きな差が出来るからです。

対してスマートフォンのOSを担うApple社の企業動向調査もかなり重要です。Apple社の影響力の強さも言うまでも無いと思います。AppleはかつてiOSで動画Flashがブラウザクラッシュの原因になるという事からiOSでFlash閲覧を廃止。iPhoneユーザーの急速な増加も手伝い世間ではFlashの動画がほとんど使われなくなってしまった経緯があります。

かつてOS界ではWindowsは神のような存在でした。今度はユーザーが使う端末の大きな変化(PCからスマートフォンへの移行)により、シェアを持ったAppleの動向が非常に重要となってきました。

Apple社が何故WEB戦略におけるキー企業なのかというと、日本におけるスマートフォン所持のiPhone比率と、今後の更なるシェア拡大、実際にWEB閲覧されているiPhone比率の高さがからです。

■スマートフォン販売シェア2014年9月から11月 ※iPhone6が販売された頃です
iPhoneのシェアが69.1%
Androidの機種のシェアが30.0%。

■スマートフォンのWEBページ閲覧シェア
スマートフォンのシェア率を、9,000サイト以上・月間約1000万UUという大規模のデータから分析。

日本国内スマートフォン(スマホ)・シェアランキング(2015年8月)
iPhone:59.42%

実際にスマートフォンらしい使い方(WEBの閲覧)をしている、本当に稼働しているスマートフォンの数字と見ていいと考えます。たった1社で60%です。

iPhoneのシェアが高い理由は、ちょっと特殊な事情があります。実は日本で買うiPhoneは非常に安く、携帯各社が販促のため「端末料金が実質ゼロ円」といった優遇策をとってきた為です。ちなみにiPhoneのシェアが過半数なのは日本のみ。

■今後の国内のiPhoneシェア
寡占に向かっていくものと考える。各社スマートフォンの料金設定の複雑さも手伝い、一度iPhoneに機種変更した人々が今後Android機に大きく戻るとは考えにくく、最近のAppleMusic戦略含め、Appleの巧妙な戦略は奏功していくと見ています。

極最近のApple社の動向
■iOSの広告ブロック機能
2015年秋に、iPhoneのOS、iOSのバージョン9が発表されました。様々な便利機能が増えたのは勿論なのですが、この中で、WEB広告の排除機能の実装が、広告業者に衝撃を与えています。

これまでアプリケーションレベルで広告排除機能はありました。今回OSレベルで実装した事が重要です。Appleの視点は、WEB閲覧において「広告など必要ない」という方向性の意思表示と私は見ています。

「iOS 9」のコンテンツブロッカー機能に対応し広告をブロック出来るアプリ「Crystal」は、リリース後12時間で10万ダウンロードを突破したとの事。

iOS9におけるコンテンツブロッカーによって、ページの読み込み時間が74%速く、データ通信量は従来の53%になるとの事。
要するにApple社のWEB広告に対する姿勢

WEB広告は必要ない


Google社が何故WEB戦略におけるキー企業なのかは、言うまでもないですが、WEB検索におけるシェアがナンバーワン。彼らの思惑通りに検索結果が並び変えられてしまう。Yahooもその検索システムを導入しており、実質WEB検索においてはGoogleが牛耳っている。

・WEB広告は推奨
・Appleと違いGoogle自体が広告戦略で収益を得ている
・業者におけるSEO対策されたページを非常に嫌っている

ちょっと話はそれますが、ここでWEB広告について語ります。

■WEB広告の嫌われ方

WEB検索会社というより広告会社と言った方が良いGoogleが2014年暮れに衝撃のデータを発表。広告会社として自分の首を絞めるようなデータで、さすがはアメリカの最先端の会社。

彼らは「バナーなどの広告を万が一押されたとしても、そのうち56.1%は、1秒以内に出ていく」と言ってのけた。

私見によると、誤ってバナー広告を押してしまった…というのが一番多いのではないかと見ています。
「バナーを押す気があって押して、広告内容を具体的に見る人は皆無」ということ。

別の調査によると、ページ上のバナーの位置についての興味深い話があり、殆どのユーザーはWEB広告を無視するのですが、バナー1つだけを無視するのではないというもの。バナーがあるだろう領域全てを無視してしまうというもので、視野的にそこに何も無いものとして判断してしまうというものです。

自分のサイトの見方を良く思いかえしてみると、バナーのあるエリアなど一切視線を向けていない事がよく分かると思います。

これらの理由だけで、広告費を削るのは早計ですが、少なくとも良い場所に広告があるから安心…という考え方は捨てるべき。

最近、WEB広告業界で流行りつつある手法「ネイティブ広告」について語りたいと思います

■ネイティブ広告
現在、WEB広告業界で広まりつつある手法で、バナーなどの目立って広告する手法ではなく、記事と広告を自然に溶け込ませ、ユーザーにストレスを与えず情報を届ける広告です。

「ユーザーにストレスを与えない広告」これがキーワードです。
様々な調査結果によると、共通してWEB広告を嫌う理由の内もっとも多いのが、ユーザビリティーを落とす広告。
例えば、閲覧画面を覆いかぶせる広告や、バナーだらけでページの表示を遅くする広告。
スマートフォンで押すわけもない広告で必要情報の閲覧が邪魔されてはこう思うのは当然。

ネイティブ広告は、「コラムの文章の中に関連リンクを当てはめていく」という手法。


これまで様々な切り口で述べてきました。整理をしたい。

1.WEBユーザーは今後もPC閲覧からスマートフォン閲覧への流れは止まらない
2.国内でのiPhoneでの閲覧シェア、iPhoneの販売シェアを考え今後もAppleの動向(広告排除など)を見守っていくべき
3.GoogleのSEO対策ページ排除の公言により、更なる検索エンジンアップデートが行われ、独自コンテンツ重視の方向は今後も変わらない
4.スマートフォンでのページ閲覧の急拡大を大いに意識したGoogleのスマートフォン対応ページ優遇策は、今後の検索エンジンアップデートで更に強められていく
5.Apple社とGoogle社の共通して持っている思想は、ユーザーの利便性を第一に考えている
6.逆にApple社とGoogle社の相違は、広告排除の方向性があるか否か

6.について補足と私見を述べます。広告の完全排除はWEBの発展を否定するものでもあると考えます。
広告収入によってより良質なコンテンツが生み出されてきたサイトも多々あるからです。
Apple社とGoogle社、両社が認める広告というのは、ユーザーにとって不利益となりうる広告(表示スピードを落とすような広告、表示画面を覆ってしまうような広告、訪れたことのあるサイトのバナーが何度も現れるようなさぐられているようで気分の良くない広告)ではなく、上述したような「ネイティブ広告」。
端的に申しますと、有益なコンテンツによるユーザーへの奉仕と広告が一体になったような広告と考えています。


例えば10年前、これらの潮流を予測できたでしょうか。スマホが当たり前になっている世界を。。
正直、私自身今後10年のWEBの潮流は予測できません。
PCからスマホへ…というような劇的な変化はもう無いのでは…と考えているのですが、この考え方は保守的な考え方がベースにあるからかもしれません。かもしれません…。という書き方自体も自信の無い現れです。

WEB関連に携わっている方々にとっては心当たりのある内容でしたが、一助になればと思います。